田舎に移住して、失敗したこと、成功したこと。

ニッポンの農林水産業に元気を Agrioという時事通信社が発行している新聞に記事を書かせてもらいました。

地方創生とか地域活性とか、言葉だけが独り歩きして、最近はそういう言葉が白々しく感じてしまう。それは、地方に住んだからこそなのかな。田舎に移住した人の失敗したことや成功していること、いろいろとブログで書かれるようになったが、私もその経験を、今、している。

なので、先日行ったちかつゆビアガーデンを通して感じたことを書いてみました。
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先日、和歌山県田辺市中辺路町にある近露(ちかつゆ)という地域で「ちかつゆビアガーデン」というイベントを実施した。熊野古道沿いにあるこの地域は多くの外国人旅行者が訪れ、宿泊する。そんな旅行者に筑波大学の学生がアンケートを取ったところ、彼らが求めているのは「日本の文化体験」や「ローカルな人たちとの出会い」であった。しかし、地域の人たちが旅行者と交流する機会は今まであまりなく、ただ宿泊して通り過ぎてしまうだけの熊野古道沿いの地となってしまっていた。

そこで地域の人と旅行者をつなげるべく、地域にあるカフェ「箸折茶屋」とドライブインを運営する「南海エフディサービス」、そして私が運営する「熊野野菜」の3社でイベントを実施した。

このイベントは、みんなの得意分野で協力しあい成り立っている。例えば、イベントポスターのデザインはもともとデザイナーだった私がやり、それをポスターとして印刷してくれたのは大型印刷機を保有する南海エフディサービス。「二つの会場を結ぶ道に道しるべの竹灯籠を作りたい」と、雨の中4時間かけて竹から灯籠を作ってくれたのは地元のじいちゃんたち。イベントで着る浴衣は使っていないものをいろいろ持ち寄ってくれて、着付けは暑い会議室で地元のおばちゃんがやってくれた。そうやって、みんなが楽しそうに得意なことでイベントの準備を手伝ってくれた。

もともとのイベントの目的は旅行者と地元の人をつなげることだったけれど、イベントを1カ月続け、みんなの顔を見ると「ああ、みんな楽しそうだな」ということに気づいた。イベントにも積極的に顔を出してくれた地元の人たちは旅行者たちと同じテーブルにつき、ビールを飲みながら身ぶり手ぶりのコミュニケーションで会話をする。午後8時という時間を大幅に過ぎて盛り上がり、旅行者も地元の人も「楽しかったよ」と言って夜道を帰っていく。

田舎に移住するということは大変だと思う。最近では、田舎へ移住した人がごみを捨てられない(ゴミ捨て場の権利関係によりその地域のゴミ捨て場にゴミを捨てることが許されない)というようなことが記事になっていたが、私も身をもって体験している。和歌山県田辺市の「地域おこし協力隊」で移住した私は半年で地域おこし協力隊を辞めた。理由はいろいろあるけど一番の理由は「こんなんじゃ地域おこしなんてできない」と思ったからだ。移住してきた当初は「地域おこしなのだから地域をおこしたい」と肩に力が入ったのだと、約2年ここに住んでわかった。あの頃はおごっていた自分がいたのだなと、今なら思うことができる。

そんな私がこのイベントを企画して実際に思うのは、最初は半信半疑だった地元の人たちが、「やって楽しかった」から「またやろう」という成功体験の力による継続性につながっていることだ。このイベント自体は9月で終了したが、次にハロウィーンもやろうと声があがっている。また、地元の人が講師になり、旅行者にちかつゆの文化を体験してもらう体験型サロンとして「熊野野菜 カフェ」が10月にオープンする。これは、まだ出発点でしかないけれど、この地域で地域の人たちと一緒に「楽しく」地域が盛り上げる「事」を、旅行者も一緒に「継続」してやっていく。それが私の当面の田舎暮らしの目標となっている。

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