世界遺産で、世界的にも有名な熊野古道沿いに熊野野菜カフェを初めて1ヶ月。このカフェを通して、たくさんの人たちと出会うことができました。「なんでこんなところでお店をはじめたの?」とよく聞かれるのですが、その理由のひとつには、世界中の人たちと出会えるからという理由が必ず入ります。東京で仕事している頃も楽しかったけれど、こうやって文化も肌も目の色も髪の色も育った環境も職業も違う人たちとこんな短時間に出会える場所は、日本中を探してもなかなかないのではないかと思います。そんな人たちと出会って、カフェでのひとときに言葉を通して、彼らのことを少しだけ知ることができます。毎日が発見の日々です。
私にいろいろなことを語ってくれた人たちと私の物語を、少し共有できたらと思い、ブログでまとめてみました。
お店にとってはじめてのお客様だった2人。アメリカのワシントンから来たという、彼はちょっとシャイな感じで彼女はとても笑顔が素敵な女性でした。このお店のはじめてのお客さんなのと言うと、驚きながらも、お店のことをとても褒めてくれた。
イギリス人の彼とドイツ人の彼女。ちょっぴり彼女は私の英語を聞き取れなくて、彼を通して話をする。彼女に比べてとってもほっそりしている彼はビーガン。彼が興味を持ったのは、日本の政治や育児や経済や環境について。私の生活を通してたくさん質問してくれました。私のつたない英語ではなかなか細かいところまで説明ができなくて、申し訳なかった。そんなわかりづらい英語でも辛抱強く話を聞いてくれた彼は、とっても優しかった。
とても素敵なご夫婦。この旅で一番美味しいコーヒーよ。とコーヒーをとっても褒めてくれたことを覚えている。「スターバックスのコーヒーよりね」とお茶目に話す奥さんはとてもキュートな人だった。
ニューカレドニアから来た彼ら。飛行機で8時間ほどのその国には行ったことがないけれど、名前だけは知っている、そんな遠い国。とてもきれいな国で、日本人が結婚式をしているわと、奥さんが教えてくれた。
「無計画に時間があったから来てみました」という日本人の彼女と、「昨日サングラスで目元を切って救急車で運ばれて縫ってきた」という彼女。カフェでコーヒー1杯を飲んでいる間にすっかり私達と仲良くなった。怪我は大したことないのと言うけれども、ぱっくりと目の上を切っていて見てるこっちが痛々しかった彼女は、日本人の彼女と一緒に本宮行のバスに乗っていった。
旅行会社に勤める彼女カレンは、日本にも何度も来ていて熊野古道の後には、石垣島に飛ぶと言う。日本語がとっても上手で、子供が大好きだという彼女をちかつゆハロウィンパレードに誘うと、ぜひ参加したいと夕方まで時間をつぶしながら待っていてくれた。ハロウィンの衣装に仮装した子どもたちと同じ目線に座ってお菓子を配っている彼女はとても印象的だった。日本が大好きだという彼女。これからも日本のあちこちを旅する。
シアトルに住んでいるという彼。仕事は現在、ITのコンサルティング系企業に勤めているが転職を考えていると言う。これから、サンフランシスコ、ニューヨーク、ワシントン、、、どこに住もうか、良い家は見つかるだろうかと思案していた。そんな彼の中にはもう答えが出ていて、「そろそろ歳をとった両親が住むワシントンに住もうかなと思っているんだよ」と。少し肌寒い雨の日に熊野古道を歩いてびしょびしょだった彼が立ち上がったあとには、彼のおしりの形が床にくっきり残っていた。
紳士的な話し方で、「インフォメーションはありませんか?」を聞いてきた彼は、チェコ人。インフォメーションなんて近露にはないよと言うと、ゲストハウスの場所が書かれた地図を見せてくれた。そのゲストハウスは素泊まりで、きっと朝ごはんに困るだろうと、ちゃっかりカフェの朝ごはんの話をすると、「明日、食べに来るよ」と言い残して去っていった。
翌日、本当に朝ごはんを食べに来てくれた彼。チェコの国のことや、朝ごはんのことを話して、「昨日はたくさん歩いて疲れてしまったので、今日はバスで本宮まで行くよ」とカフェの前のバス停からバスに乗っていった。
南アフリカのドキュメンタリーテレビ。副5店長の「どうどー、どうどー」という掛け声につられて入ってきた5人のクルー。真ん中の男性が今回のドキュメンタリーの演者さん。女性はプロデューサー。端の2人はカメラマン。英語でインタビューされて、きちんと答えられたかは覚えていないけれど、とっても貴重な体験だった。
勉強熱心な彼と、イラストを描く彼女。日本に来て1週間で、ひらがなを書けるようになったと自慢げに彼は「ありがとう きのこ おにぎり」とゲストノートに書いてくれた。「あと1週間、日本を旅行するんだ。だからあと1週間、日本語を勉強するんだ」と言っていた彼を、彼女は隣で楽しそうに見つめていた。
オーストラリアからきた親子。ホーリーは7歳。彼女はちょっと恥ずかしがり屋で、最初はぼそぼそとお父さんに話すだけ。そんな彼女はゲストノートには子供らしいイラストやメッセージを書いてくれた。彼女とは逆にとってもフレンドリーなお父さん。オーストラリアでもキャンピングカーで暮らしているという彼らは、もちろん熊野古道でもキャンプしながら旅していた。「モノを持つことって不便だよね。自由に生きることがいいよ。」というお父さんは、娘との2人旅で、とても幸せそうだった。
世界一周したことがあるという彼。いろいろな国に行って、いろいろな人たちと出会っているんだなぁと言うことがわかるほど、コミュニケーションがとても上手な人だった。旅をしていろいろな人に出会うと、人は厚みを増すということを、彼を通して学んだ。
毎日、朝起きることが大変だったり、10時間労働とかブラック企業よりもブラックだったりするけれど、彼らのような人たちと出会うと、疲れが吹っ飛んでしまう。人と出会って、話て、知る。そういうことが、これからの人生に厚みを増してくれると思うから、頑張ってみようと思う。